うーん……もう、起きなきゃだめなんだろうか。朝日が燦々と俺の顔に降り注いで強制的に目覺めさせようとしている。太陽の日差しもなんだか一段と強くなってきたようだ。そういえば、もう初夏だっけと半分起きてるんだか、寝てるんだか分からない頭で考えた。
「おら、起きろよ」
 先に目覺めているロリスが、俺を起こす。普通、寝ている誰かを起こすなら言葉での呼びかけ、次に体をゆする、最後に布団をはぐだと思うのだが、ロリスは容赦がない。いきなりまどろみをむさぼっている俺の背中を蹴り飛ばしてベッドから俺を床へとダイブさせる。
「……もっと優しく起こせといつも頼んでるだろう」
「だったら、呼びかけた時点で起きろよな」
 ロリスは結構前からちゃんと呼びかけているのだが、まったく起きる気配がないので仕方がなく俺を蹴り落としてるんだそうだ。本当だろうな? 俺としては、けり落としてるところしか意識がないわけだから、いきなり蹴られていると思っているんだ。だけど、そこを追求するとロリスがなんだか黒い微笑を浮かべて『疑ってるの?』と聞いてくるから始末が悪い。
「おはよ〜」
 隣部屋は部屋の中でつながっていて、アルシェーンはノックもせずに部屋の扉を開けた。俺は着替えるためにシャツを脱いで上半身素っ裸である。アルシェーンは俺の姿を見るなり、まるで覗きにでもあったかのような甲高い悲鳴を上げて「バカバカッルウのバカ」と顔を真っ赤にして叫びながら扉を閉めた。
「……だったら、ノックしてドアあけろよな」
 なんで、俺が痴漢みたいな扱いをされなきゃならないんだ。むしろ覗かれて俺の玉のような美肌を見られちゃったんだぞ。被害者は俺だ。

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