「黒虎のこと?」
「違う……それも気になるけど、グラン
俺は声を落としてロリスに聞いた。俺のいた世界ではありえない言い方に、俺は戸惑っている。
「
ロリスも声を潜めて答える。短い答えが、俺の心につきささる。
「最下層以下のものって……」
「
人間が、人として扱われてない?
「どうしてそんな国があるんだ! ……俺のいた世界は……俺のいた国はそれは差別だと禁止されて……」
「グラン
「他の国はなんで黙ってるんだよ。おかしいと思うだろ?!」
国際社会では通じないとか何とか、よく新聞に出てるじゃないか。
「思ったとしても、何も言わない。グラン
「……詳しいな」
「俺も何度も、
「ロリスは帝国人じゃないから、身分は関係ないだろ?」
「あの国は、他の国の人は異端であり自分たちより身分が低く、野蛮だと思っている」
俺は、後ろを歩くアルシェーンをちらりとみた。ユーリスと楽しそうに話をしている。
「アルシェーンはそうは見えないが」
高飛車だが、俺はともかくとして、少なくとも彼女にとって外国人であるユーリスに対しては
友情を育んでいるように見える。
「だから、彼女は異端なんだ」
そうだ、アルシェーンは故郷を追い出されたのだ。
「閉鎖的な国家であるグラン
『だから、彼女は異端なんだ』というロリスの言葉が脳裏に響く。いつも、高飛車で口を開けば憎たらしい言葉しか言わないアルシェーンだが、どっかで苦しんできたのかもしれない。
……だからといって、さっきの身分制度うんぬん発言は許されない言い方だと思う。
その根性、叩きなおしてやろうか?