「本当に、きーっっと言う馬鹿がいるとはな」
「な……っあんたこそ、その減らず口直しなさいよっ女の子に嫌われるわよ!!」
「あいにくと女には不自由していない」
 ほ、本当にああいえば、こういう。口から先に生まれてきたような男だ。なんでナトゥラムみたいな男がモテるんだ? 世の中間違ってる。
「そんな、殿下も怒らないでよ〜。殿下可愛いから、ナトゥラムは放っておけないんだよ」
 もちろん、僕もそう思ってるけどね、なんてお日様のようなニコニコ笑顔でパルが爆弾投下してくれた。
 な、な、なんて言いました?!
 私が、可愛い?!
 ……可愛くてほっとけない?!
 顔に血が巡って行くのが分かる。
「あ、殿下ったら顔真っ赤にちゃって。耳も赤いよ〜?」
「パ〜ル〜サ〜ティラ〜〜〜〜っ」
「どうしたの? ナトゥラム。そんな怖い顔して。僕、何かした?」
「何かした? じゃないっお気楽極楽魔術師〜〜〜〜っ何の根拠があって、そんなことを」
「だって、可愛くて気が強いの好みでしょ? ナトゥラムっていっつもそう人好きだもんね〜〜〜っ」
「ええい、パル、何を言うかっ」
「あ、ナトゥラムの部下は優秀だね〜。もう調べてきたみたいだよ」
 パルは私の部屋に入ってきたナトゥラムの部下たちを発見して、話をそらした。勢いをそがれたナトゥラムは、敬礼した部下にまるで見本のように美しい敬礼で返答した。
「申し上げます。花の分布を調べたところカルニカ地方ということでした」
 カルニカ地方。六貴族のカルニカ家が治めているところ。

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