「愛の力だよ」
……。
そうだ、忘れてた。このエルフ、ネリーにメロメロだったんだ。
見かけは成長したのに、中身は全然変わってない。
「ただ、そういうことなら暁の森が全力を挙げてネリー救出に助力するよ」
「そんなに簡単に約束してくれて言いの?」
「ネリーは将来エルフの王妃になるんだよ。全力で助力するのはあたりまえでしょ」
いうなり、ゼラは私の部屋のまどを空けて呪文を唱え始めた。四方八方から光の小さい粒がゼラの指の先に集まったかと思うと、一気に破裂するように拡散した。
精霊魔法だ。
「大陸中の植物たちに、ネリーを見かけたら連絡するように頼んでおいたよ。コレが手がかりになるといいけど」
扉がノックされて、老師が到着したことを侍女が知らせてくれた。私はすぐに部屋に通すようにいった。
部屋にいる人たちを見て、
「事情はわかりました」
すっごく心配だろうな。ネリーは家族のことが苦手だったようだけど、叔父である
「一族のものには、私から伝えます。先走ったことをしないように通達もしておきましょう」
「先走ったこと?」
ネリーはむしろ一族から疎外されているようなことを言っていたけれど、なにを先走るんだろう。
「まだ、ネリーは知らないことなのですが、彼女はプチグレン家の次期当主です。次期当主が攫われたとなると、我ら誇り高きプチグレン家の者は黙っていません」
え? でも、ネリーは自分が魔法を使えない事に対してひどいコンプレックスをもっていて、家族からも疎外され孤独を感じ、錬金術師になることでコンプレックスを克服しようとしていると言っていた。魔法が使えないことで兄弟から疎んじられていたらしいのに。
「プチグレン家は元々、魔法学者の家柄です。研究肌の思い込んだら一直線、政治的センスのない世間知らずばかりの集団です。その中で、それでもまともに政治的センスの一端を見せるのはネリーだけです。後継ぎとしては適任でしょう」
「でも……」
私は納得が行かない。ネリーは兄や姉から言われないいじめに耐えてきたのだ。彼女の腕にはそのときの傷のあとがある。妹からも魔法でいじめられ、魔法防御ができない彼女は十四歳になった日、実家を飛び出してその足で錬金術師学校に入学したんだ。
でも、そう、これはネリーが解決するべきことだ。いま私がするのはプチグレン家の協力もほしいということ。
「わかりました。